株式会社ビオネスト

介護

異業種ボランティアとの共通体験が「介護の未来を変えるかも…」という希望に!

2022.11.14

ボランティアを通じて、異業種の方に「介護現場の困りごと」を肌で感じてもらえる。

その共通体験が「介護業界を変えるかも…」という希望に繋がっています。

 

■企画概要

「自分の考えは甘かったな…でも、介護現場を知れてよかった」

「ボランティア」としてシニアハウス笑楽東住吉に来られた「ある企業の社長」の言葉です。

ビオネスト笑楽では、これまでも介護業界の課題解決を本気で考えておられる業界外の企業様との「異業種連携」を積極的に行ってきました。世界一の高齢化先進国となった日本の介護現場で抱える課題は、介護業界だけでは解決できないものも沢山あります。その課題は、けっして介護業界だけのものではなく、業界外の方も一緒に解決していく必要があるものです。

そういった課題認識の下で、ビオネストでは大阪市・大阪産業局様と連携して、介護施設を「実証フィールド」として開放し、異業種の方に「ボランティア」として介護現場で実際に働いてもらい、「介護現場の困りごと」を肌で知ってもらい、介護業界を変える新しい製品やサービスを生み出す取り組みをしております。(注:出来うる、そして、考えうる最大の感染対策・感染予防をしております)

「介護の現場で実際に働いて、何に困っているのかを知りたい。そして、解決に尽力したい。」という熱い想いを持った企業の経営者、事業開発担当者、研究開発担当者に「ボランティア」として働いていただきました。

介護施設のご高齢者の声、介護現場で働くスタッフの声に真摯に耳を傾けて、メモをとられ、「こんな製品(サービス)考えてみます!」と言っていただけることもありました。介護の現場を遠くで見るのではなく、近くで感じていただく、その「共通体験」がこれからの「未来の介護のカタチ」を創っていくと信じて、これからも可能な限り「異業種連携」を進めたいと思っております。

 

■企画詳細

ここからは、ボランティア対応をしたシニアハウス・デイサービス笑楽東住吉の田邉へのインタビューをご紹介します。

・インタビュアー:大阪産業局とビオネストグループのコラボレーションを通じて実現した「介護イノベーション共創ワークショップ」。大阪市内にあるビオネストグループの介護施設を「実証フィールド」として活用させていただき、「介護現場の困りごと」を業界外の方々に肌で感じてもらい、「潜在ニーズ」に応える新製品やサービスを生み出すという「大阪市、初」の取りくみです。このワークショップは、大阪産業創造館での「座学」と「介護現場フィールドワーク」の2部構成になっているのが最大の特徴です。目玉の「介護現場フィールドワーク」では、ワークショップ受講者に介護現場へ「ボランティア」として来ていただき、1日ないし多い方で4日以上、介護スタッフの制服を着用いただき介護の仕事を体験いただき、高齢者・介護スタッフとコミュニケーションを取っていただきます。

こういったいわゆる「異業種連携」の取り組みが、もつ介護現場での「意義」は何だと思いますか?

・田邉:とても大きな意義があることだと思います。とにかく介護現場は閉鎖的で、異業種の方と交流する機会はほとんどありません。また、介護の5K問題と言われるように「きつい」「しんどい」というネガティブイメージが先行していることで、業界外の方と介護現場とのギャップが大きくなっていると感じています。今回のような取り組みを通じて、介護現場で本当に困っていることと業界外の方のギャップが埋まり、介護現場の環境整備が進んでいくことを期待しています。

不穏(穏やかな状態でないこと。 認知症の人の場合は不安等で落着かない様子のこと。)なご利用者さま、ご入居者さまの様子を知ってもらう。そして、介護スタッフがその方を幸せな状態にするために工夫している関わり方・接し方を見てもらう。そういった介護現場ならでは出来事にも触れていただけるのも、価値あることだと思います。

 

・インタビュアー:ちなみに、今回13社14名の方がワークショップに参加されており、田邉さんの担当施設にも何名かの方が来られたと思います。その中で、印象に残っている方はいますか?

・田邉:どの方も全力でボランティアに取り組んでいただきながら、そして、自分なりに「持ち帰りたい情報や気づき」を得るために真摯な態度だったと思います。その中で、直近でこの施設にボランティアに来られた旅行業などを営むYさんが一番記憶に新しいためか印象に残っています。企業の社長をされている方なのですが、最初施設に来られた時は非常に緊張されておられ、目的を達成していただけるか不安でした。しかし、ボランティアが始まって慣れて来られてからは「介護職員さんがくつろげる施設の企画を考えている!」「ご利用者の外出支援などを企画している!」「生まれた故郷に帰りたくても帰れない方に映像を届けるサービスを考える!」など自分なりに考えておられたアイデアを職員たちに真剣に質問して意見を訊いておられた姿が印象的でした。

Yさんがご利用者や介護スタッフと沢山のコミュニケーションをとる中で、「自分の考えは甘かったな」とポツリと言っていたことも、印象的でした。介護施設には裕福な方もいれば、生活保護を受けておられる方もおられます。後者の方は、どうしても最小限の生活水準になってしまうので、施設側の人間が「素晴らしい!やってあげたい!」と思っても、コスト面でどうしても実現が難しくなったりしますので、まさにギャップなのかなと思いました。

また、Yさんは「買い物風景も見たい!」とスタッフと一緒に自転車で移動して、どういった買い物をしているのか?どういったニーズがあるのか?を積極的に知ろう、理解しようとされている姿が感動しました

 

・インタビュアー:こういった「異業種連携」の取り組みで、解決できたらよいなと思う「介護現場の課題」は何でしょうか?

・田邉:やはり「人材不足」ですね。会社としては、非常に手厚い人員配置をしているのですが、コロナ禍の予測困難な緊急対応も相まって、どうしても現場の感覚的・状況的に「人が足りなくて、バタバタしている」場面が発生してしまいます。毎日、現場の私達が思っていることは「出来る人を二人に分身術で増やしたい!」ということです。

そのバタバタした雰囲気がどうしてもご利用者や入居者に伝わってしまうと、ご利用者がご自身の意思で動いて転倒リスクが発生するなど事故が発生する可能性が高まってしまいます。出来る人をもっと増やしていきたい、そして、時間が限られている中でも「教育」をしてあげたい。そのためも、現場側でも無駄な業務を減らして、必要な業務を効率的に行う「生産性の向上」が求められてきます。

 

・インタビュアー:「人不足」の要因の一つに介護スタッフの業務負荷が大きい。ということが挙げられますが、肉体的な業務負荷と精神的な業務負荷ではどちらが大きいと感じますか?

・田邉:精神的な負担が大きいと思います。ご利用者の想いに答えてあげたい、もっと対話をしてあげたい、そんな想いがあふれるスタッフがほとんどですが、全員の想いに応えることが難しいです。やってあげたいこととやらねばならないことのジレンマが精神的な負担を大きくしている気がしています。一方で肉体的負担であれば、「腰痛」が一番多いと思います。腰痛ベルトをしていても、しんどい業務もあり、どうしても腰に負担がかかってしまうからです。

 

・インタビュアー:介護現場に業界外の方がボランティアで来られるメリットはありますか?

・田邉:「介護現場の困りごと」を一人ひとりのご利用者・ご入居者そして、介護スタッフから聞き取っていただき、新しい製品やサービスを考えてくださる。その先の未来に「希望」を持っています。介護業界のイメージが変わればよいな、と。また、業界外の方が来られることで、ご利用者が「あの人、誰?いつも見ない人だね?」と興味を持ち、普段より張り切って積極的に話してくれるという良い影響がありました。介護スタッフも、「外部の目」があることで、普段より心なしか「キリッ」としているように感じます。介護の専門知識が無い方に、出来るだけ理解してもらおうと説明することが、よい職員教育につながっていると思います。ボランティアの方が来ている時は、シャキシャキした良い雰囲気になっていると感じます。

・インタビュアー:本日はお忙しい中、インタビューにご協力いただきありがとうございました。